東京発展裏話 #1
「陸軍用地」が今も渋谷に?
〜渋谷に残る「陸軍用地」標石〜
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 若者でにぎわう渋谷のど真ん中に、なぜか「陸軍用地」と彫られた石の柱がひっそり立っています。

 実は、その「陸軍用地」と彫られた石の柱は、かつての陸軍用地の境界を示す標石です。終戦後その土地が陸軍とは関係なくなった後、偶然にも残されたままなのです。

 標石は、柱石または図根点とも呼ばれ、一般には地積測量の基準点として敷地の境界を示すために埋められる、石やコンクリート製の長方形の柱です。

 旧日本陸軍のそれは花崗岩製で、側面に「陸軍用地」と彫られています。陸軍の敷地境界を示すものとして、かつては多くの場所にあったものと思われます。旧陸軍用地を引き継いだ自衛隊施設などには、未だに新しいものへ差し替えずに残っているところも多いのではないでしょうか。

0301M_RIKGUN.JPG - 34,442BYTES  その「陸軍用地」標石が、なんと、今は自衛隊とも米軍施設とも関係のない渋谷のど真ん中、東急ハンズの近くの「大向小前」交差点という三叉交差点の角の一隅、渋谷区宇田川町1番の地先に残っていました。それは交差点の角の石垣にめり込んで立ってました。

  その辺りは、旧日本陸軍の「代々木練兵場」(現在のNHK、オリンピック室内競技場、代々木公園ほか)や「陸軍監獄」=刑務所(現在の渋谷区役所、公会堂、税務署、神南小学校ほか)がありました。標石が残っている交差点は、その敷地の南の角に該当します。

 たまたま、該当の標石は、擁壁の石垣にめり込む形で埋まっていたため、簡単には取り外しにくく、また、その敷地部分を公共施設が利用しているので、あえて取り外すことなく現在に残ったのでしょう。渋谷の旧陸軍敷地周辺は、東京オリンピック前後から開発が著しく、その痕跡をとどめるものは少ないと思います。

 当時の痕跡ではありませんが、陸軍用地だった数少ない名残が、税務署の角にある「二二六事件追悼碑」です。ここはかつての陸軍監獄、すなわち刑務所の処刑場跡で、二二六事件を起こした罪で青年将校らが処刑された場所になります。

(1999年7月14日 記)


 「陸軍用地」標石はその後、擁壁の改修工事に伴い上記の場所から撤去されました。なお、現地の交差点名も小学校の統合再編成に伴い「神南小学校下」に変わっております。ただし標石そのものは、同地近くの渋谷区清掃事務所敷地内に移設保存されています。同施設前庭に設置されている公共自転車駐車場のフェンス越しに、建物に沿った植え込みの中にその姿を確認することができます。
清掃事務所敷地内に移設された標石
(2006年1月撮影)
交差点遠景と標石の位置
(2006年1月撮影)


(2006年5月7日 追記)


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