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( 1999年7月14日 開設 > 最終更新 2017年9月8日 )


東京発展裏話 #3
地底川に阻まれた地下通路
〜西武渋谷店・幻の地下連絡通路〜

(1999年7月14日 記)
(2001年1月14日 建物名称修正)
(2014年11月30日 地下3階業務用通路の存在を追記)

 東京・渋谷の西武百貨店渋谷店は、渋谷駅に近い側から順にA館・B館・LOFT(ロフト)館・パーキング館・Movida(モヴィーダ)館という5つの建物で構成されています。そのうち、A館とB館、B館とLOFT館の間は道路で隔てられ、その奥のロフト館からモヴィーダ館までは同じ区画に隣接して建っています。

西武百貨店渋谷店と宇田川の位置関係図
西武百貨店渋谷店と宇田川(地下河川)の位置関係図

 このうち、2番目のB館から一番奥のモヴィーダ館までは一連の連絡通路でつながっていますので相互の行き来が簡単です。しかし、一番手前のA館と2番目のB館の間には、上の階での連絡橋(通路)はありますが、一番便利な位置となる地下階の連絡通路がありません。ここに地下連絡通路が設けられれば利便性が向上するでしょうに、なぜそこには地下通路が設けられないのでしょうか。

 本当は、西武百貨店側も、当初、A-B館の地下通路を造る予定でした。一番最初にA館とB館が建設された時、両館を隔てる道路を跨ぐため、上の階の連絡通路と共に、地下通路も計画されていました。

西武百貨店渋谷店と宇田川の断面模式図
西武百貨店渋谷店と宇田川(地下河川)の断面模式図

 ところが、なんと道路の下には「川」が流れていたのです。この地底の「川」の存在によって、地下連絡通路は実現不可能ということが判明しました。そこで、設計を一部変更し、上の階の連絡通路を増やして客の流れを誘導することになったのです。

 地底を流れる「川」の名は「宇田川(うだがわ)」。宇田川は、小田急線代々木上原駅付近や、渋谷区初台2丁目の代々木郵便局裏手付近の谷を源流とし、京王線初台駅南側付近から流れる河骨(こうほね)川と富ヶ谷方面の支流を小田急線代々木八幡駅付近で合わせ、さらに富ヶ谷、松濤などからの幾つかの細流を合流して、渋谷駅東口北側にて渋谷川に合流する小河川でした。百貨店の建つ地名、渋谷区「宇田川町」はこの川に由来します。

 宇田川は、かつては水車が回るのどかな小川で、唱歌「春の小川」の光景は、この川の支流・河骨川を詠んだものでした。しかし、戦後の高度経済成長時代には家庭排水の流されるドブ川となり、東京オリンピック(1964年)前後にかけて、細流部分はマンホールに、川幅の太い部分は「フタ」をした「暗渠(あんきょ)」となり、その上を道路や遊歩道にしたのです。マンホールや暗渠となった宇田川は、その流路をそのまま東京都の下水道の一部として使用され、現在でも雨水等を集め、地底を密かに流れているのです。

宇田川の下をくぐる地下3階に業務用の地下連絡通路があるそうです。

(2014年11月30日 追記)

 当記事をご覧いただいた革洋同さんから、地下3階に業務用の地下連絡通路が存在するとご連絡を頂きました。
百貨店の営業フロアとなっている地下1階から地下2階には、道路の地下に宇田川が流れている関係でA・B館をつなぐお客様用通路は造れませんでしたが、宇田川の暗渠よりさらに下の地下3階の深さに、従業員専用の業務用地下通路が設置されているそうです。
地下を流れる宇田川の暗渠は、ボックス型断面のコンクリート製トンネル(ボックスカルバート)となっています。
この宇田川の水を流すコンクリートのトンネルは、道路の下約3メートル前後の深さに天板(トンネル天井)があり、トンネルは高さ4.4mの箱ですので、河床面は地面から約7mの深さに位置することになります。
その宇田川の川底よりさらに約2m下の、地下約9mから13mの深さの位置に、宇田川をくぐってA館地下3階とB館地下3階を結ぶ地下通路があるそうです。
この地下通路は百貨店の従業員専用エリアにあるため、一般客は利用できないそうです。
建物断面と宇田川の位置関係を描いた模式図イラストには建物の地下3階と業務用連絡通路の表現がありませんでしたので、加筆修正しました。
革洋同さん、情報ありがとうございます。

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